別館でアップしていたイラストのログです。





「うわー、平助君の手のひら大きいね」
「当たり前だろ。俺、男なんだからさ」

 そうやって驚く君の顔すら可愛いと思うなんて。






好きだよと呟く、その声が。
額に触れる、その唇が。
あまりにも優しすぎるから。

――だから、涙が零れる。






貴方を想い、慕う。
その心に気付いた、その瞬間。






真っ直ぐに、ひたすらに。
揺ぎ無く、前だけを見据えて。






困りきった顔で千鶴が斎藤を見上げた。
「雪村……何だ、その手の花は」
「あ……えっと、その……実は……ですね」
要約すれば、知らない間に賭けに巻き込まれた挙句に負け、花を押しつけられたらしい……沖田に。
――斎藤の髪に飾って来い、と言う命令付きで。
渡されたはいいが飾るわけにもいかず、どうしようと悩んでいた所にある意味で丁度良く斎藤が姿を現したらしい。
「貸してみろ」
千鶴の手から花を取り上げて、髪を結えていた紐に茎を差し込んだ。
淡い色の可憐な花びらが何層にも重なった豪奢且つ繊細な大輪の花が、斎藤の髪に彩りを添える。
「これでいいのか?」
「さ……斎藤さん!?」
何事もないような調子で尋ねてくる斎藤に、千鶴が驚いて目を瞠った。
「何だ」
「何だじゃなくてですね……それ」
髪を彩る花を指さして、千鶴が困ったように表情を崩す。
「俺に飾って来いと言われたんだろう。ならば、これで終わりだな」
「それは……そうですが…………すいません、有難うございます」
「気にするな」
短くそう告げると、飾っていた花を取り外した。そのまま、千鶴の手のひらへと落とす。
手のひらに戻ってきた花を見つめながら、千鶴がポツリと呟いた。
「斎藤さん、花が似合いますね」
「…………それはあまり嬉しくないが」






悠々と構える。






薄桜鬼オンリー「桜かるた(2009.10.25開催済)」用サークルカット絵
イラストだけがなかったのです……。