太陽の光に、金糸が輝いた。
それを目の端に止めて、木の上で寝転がっていたサスケが上体を起こした。
木の下を金糸の髪の少女――ゆやが通りすぎようとしている。
「ゆや姉ちゃん」
突然、かけられた声にゆやは後ろを振り返った。が、後ろに声をかけた人物の姿はな い。
ゆやが首を傾げた時、頭上から更に「こっち」と声がした。
「サスケ君」
銀の髪が、木々の間から差し込む光を浴びて綺麗だった。猫を思わせるような金の目 には戦闘中とは違うやわらかな光が宿っている。
「何処か行くのか?」
「うん。そろそろ旅立つでしょ? だからちょっと買い出しに」
町の方を指差してゆやが言う。
今まで寝転がっていた場所を離れてゆやの目の前に降り立つ。
「俺も行く」
「え? でも、休める時に休んでおかないと…」
「ゆや姉ちゃんも一緒だろ?」
「私はサスケ君達と違って戦う事はないから……せめてこう言う買い出しとかはね」
小首を傾げて、小さく笑った。
「でも行く」
「……」
「安全じゃねぇだろ、ここも。ゆや姉ちゃんに何かあったら暴れる奴らばっかりだしな 」
キッパリとサスケは真実を口にする――ゆや自身が信じるかどうかは別として、だ。
「私に何かあったら暴れる……? 誰が? そんな人いないわよ」
あっけらかんと笑ってゆやが否定する。
ゆやに分からない程度に小さく、サスケが溜め息を吐いた。ゆやのこの応えは想像通りだが、ここまで他に鈍感で良いものだろうか。
「とにかく、サッサと行こう。ゆや姉ちゃん」
「え…え?」
若干、戸惑っているゆやの手を取って、サスケは町の方へと歩き出す。
ゆやは感じなかっただろうが、サスケには良く分かる。周囲、あちらこちらからサスケに向かって放たれている恐ろしいほどの殺意。
発している人物を知るのは簡単だ――と言うより、間違いなく数人を除いた他全員だ。
普通の人間なら逃げ出しそうな程だが、生憎、サスケは普通の人間とは違う。殺意を向けられた所で何ら問題はない。むしろ、心地良く思う。
サスケにとって殺意を向けられる事や戦闘など日常茶飯事だなのだから。相手にしたら不利と言えば不利な面々ばかりだが。
それでも。
君の隣は、誰にも譲らない。