祈り


 ぼんやりと、うっすらと。
 霞む視線が周囲の光景を目に止めた。

 傍には派手に泣き叫ぶ、金の髪の子供。
 ―――大切で可愛い己の子供。


 生まれたばかりの子供の腹には、先ほど己が施した封印の印がくっきりと浮かんでいて。



 ごめんね、ごめんね。



 口に出さずに、心内で子供に詫びる。
 自分の行いを後悔している訳ではないけれど。
 それでも、これからの子供の行く末を考えると、自然と謝罪が浮かんできた。
 健やかに、幸せに。
 普通の忍の子供として育つ機会を奪いとったのは、他でもない父親である自分――――最後の最後で、父親ではなく「火影」である事を選んだ自分自身。
 わかって欲しいとも、認めて欲しいとも思わない。恨んでくれてもいい。それでも、知っていて欲しい。
 父親らしい事を何一つも出来なかったけれども、それでも、生まれてきた君が大好きで。君が生まれてきた事が何よりも嬉しくて。

 死ぬ前も、今も、死んだ後も、大切に、大切に想う。
 ――想い続ける。

 死に行く僕から、愛しい君へ。
 ただただ、祈りを捧げる。



 ――――幸せにあれ、と。



 薄暗い闇に落ちゆく意識で、ぼんやりと祈った。


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 四代目独白。
 うちのNARUTOは四代目とナルトが親子と言う設定の元、成り立ってます。
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